activities
議会活動
令和5年(2023年)6月定例会
◆(くずや利枝君)
このたび名東区より初当選をさせていただきましたくずや利枝でございます。よろしくお願いを申し上げます。
議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、トワイライトスクール・ルームにおける体験活動の充実について質問をいたします。
本市のトワイライトスクールまたはトワイライトルーム、いわゆるトワイライトでは、コロナ禍においても、子供たちの放課後の居場所を確保するため、地域の方々の御協力もいただきながら、様々な活動を実施してきました。
その中でも、地域の方々に講師となっていただき、和太鼓や琴などの伝統的な活動、茶道や華道などの文化的な活動、お手玉やおはじきなどの伝承遊びといった、各家庭で保護者だけでは教えることが難しいような活動も含めて様々な体験活動があり、子供たちも楽しんで参加していると聞いています。
ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、感染症対策を講じながらの運営ということで、実施回数が制限されてきました。小学校1校当たりの月間の平均的な実施回数を比較すると、コロナ前である令和元年度は一月に10.4回実施されていましたが、直近の令和4年度は6.7回と減少しています。
また、子供の体験活動の状況については、民間団体の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、非正規雇用労働者の世帯など所得が大きく減少した世帯のうち約半数が、子供の学びに関する困り事として、子供の体験機会の減少を挙げています。
子供の体験活動の減少は、子供の学習意欲の低下につながるといった調査結果もあります。コロナ禍における様々な制限により、学校授業での体験機会は、経済状況にかかわらず全ての子供たちにおいて減少していますが、低所得世帯の子供たちは、学校授業で失った体験機会を学校以外の場で補填するだけの経済的余裕が少ないという状況があります。
こうした家庭間における体験機会の格差が生じている中で、経済状況にかかわらず、全ての子供たちがトワイライトを通じて体験活動の機会を受けられる環境整備が、これまで以上に求められていると考えます。
このような状況の中で、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し、社会経済活動が徐々に再開されていく中で、トワイライトにおける体験活動の実施頻度を含めて、コロナ前の水準まで回復し、充実を図っていくことが必要であると考えます。
一方で、こうした体験活動の講師を担っていただく地域のボランティアの方々も、伝統的、文化的な活動の講師を中心に高齢化が進み、担い手不足が課題となっていると聞いています。小学生の子供がいる保護者からも、実際に担い手不足が原因で、学校によってはトワイライトの活動内容にばらつきがあるといった声を聞くことが少なくありません。
このような状況も踏まえて、今後は地域のボランティアの方々のみに頼るのではなく、地域の民間事業者等とも連携を強化し、御協力をいただくことで、各学校での体験活動をより充実することができるのではないかと考えます。
そこで、子ども青少年局長にお伺いいたします。現在でも、トワイライトの各運営事業者により、でらスポ名古屋加盟チームによるふれあいサッカーひろばやキッズ野球教室など、民間事業者の協力を得て様々な活動を実施されているようですが、各運営事業者で実施している体験活動では内容に限りがあるため、多様な民間事業者と関わりのある子ども青少年局が積極的にトワイライトに協力していただける民間事業者を開拓し、連携を図ることで、各学校における体験活動の充実につながると考えますが、当局としてのお考えをお尋ねいたします。
次に、美術館における子供の利用者増加に向けた取組について質問をいたします。
昨今の教育現場では、AIやIoTなど急速な技術の進展により、社会が速いスピードで変化し、多様な課題が生じている中で、これまでの文系、理系といった枠にとらわれず、各教科の学びを基盤として様々な情報を活用しながら、課題の発見・解決、社会的な価値の創造に結びつけていく資質・能力の育成が求められています。
これまで国際的にもサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス、この英語のS、T、E、Mの頭文字を取ったSTEM教育が新しい教育理念として進められています。
これに関連して、国においても、令和2年度から初等教育においてプログラミング教育を必修化する方針が文部科学省から発表され、小学校でのプログラミング教育の必修化やGIGAスクール構想に基づくタブレット等のICTを活用した教育を進めることとし、本市の小学校においても取組が進められています。
そして、最近では、このSTEM教育にアート--芸術、リベラルアーツを加え、英語のS、T、E、A、Mの頭文字を取ったSTEAM教育が国際的に広がりを見せています。具体的には、数学や科学の基礎知識を習得した上で、技術や工学を応用し、芸術的な感性を生かし創造的な手法を活用して問題解決につなげる能力を総合的に学習することを目的としており、文部科学省においても教科横断的な学習を推進しています。
さらに、このSTEAM教育の土台としては、幼児期からの様々な体験の充実、小学校・中学校での教科横断的な学習や探究的な学習の充実が重要であり、発達の段階に応じて、児童生徒の興味を生かし、教員が一人一人に応じた学習活動を課すことで、児童生徒自身が主体的に学習テーマや探究方法を設定することが重要であるとしています。
そこで、幼少期から小学校、中学校の義務教育において、子供の芸術的な感性や創造性を育む観点で、名古屋市美術館の活用について、教育長にお伺いをいたします。
名古屋市美術館は、教育委員会が所管する教育施設として、これまでも、美術館での学習プログラムとして市内の小中学校を受け入れるほか、出前アート体験として学芸員が小中学校に出向く学習プログラムを実施してきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、コロナ前と比較すると、美術館を訪れる小中学校の件数は減少していると聞いています。
また、美術館は中学生以下の入館料を無料としていますが、直近の令和3年度の入館者数は25万人余り、また、中学生以下の入館者の割合は全体の7%であり、極めて少ない状況と言えます。
一方で、美術館と同じく白川公園の敷地内に立地し、教育委員会が所管する名古屋市科学館の令和3年度の入館者数は77万人余りであり、これは美術館の約3倍の入館者数であるほか、中学生以下の入館者の割合は全体の40%であり、科学館を訪れることはあっても美術館は訪れたことがない中学生以下の子供が多い現状がうかがえます。
もっとも、双方の施設の目的と性質が異なるため一様に比較はできませんが、美術館を訪れる中学生以下の利用者がもう少し増える余地はあるのではないか、中学生以下の子供たちに美術、芸術に親しみを持ってもらう、関心を持ってもらう取組に対する工夫が必要ではないかと考えます。
そこで、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し、今後、学校においても様々な活動が活発化していく中で、中学生以下の子供の利用促進に向けて、小中学校との連携をこれまで以上に推進していく必要性について、お考えをお尋ねいたしまして、私からの1回目の質問を終わります。(拍手)
◎子ども青少年局長(佐藤誠司君)
子ども青少年局には、トワイライトスクール・ルームにおける体験活動の充実についてお尋ねをいただきました。
本市のトワイライトは、放課後等に学校施設を活用して、異なる学年の子供たちが、友達と自由に遊んだり、学んだり、体験活動に参加したり、世代の異なる地域の方々と交流したりすることを通して、子供たちの自主性、社会性、創造性などを育むことを目的として実施しております。
トワイライトの体験活動につきましては、地域ボランティアの方々の御協力を中心として、様々な活動を実施しております。令和4年度に実施したアンケート調査では、利用児童の7割の子供たちから、楽しい講座があるとの回答があり、一定の評価はいただいているものの、残りの3割の子供たちは満足していないといった回答をしており、体験活動の充実は、当局といたしましても重要な課題として認識をしているところでございます。
議員御指摘のとおり、地域ボランティアの方々のみでなく、民間事業者の協力を得て、トワイライトの体験活動の充実を図っていくことは大変有意義なことと考えております。
昨年度、経済局が実施する起業家育成事業を5校で試行実施したところ、参加した子供たちからも大変好評であったため、今年度は実施校の拡充をいたします。また、新たに公民連携の一環として、民間事業者による防災講座も予定をいたしております。
こうした取組はまだまだ限定的ですので、子ども青少年局といたしましても、御協力いただける民間事業者の確保に努め、それぞれの事業者ならではのアイデアで子供たちが興味・関心を持って取り組める活動を実施する等、今後もより一層体験活動の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◎教育長(坪田知広君) 教育委員会には、美術館における子供の利用者増加に向けた取組についてお尋ねをいただきました。
美術館におきましては、学校に呼びかけを行い、校外学習や職場体験として児童生徒を受け入れるとともに、学芸員が学校に出向いてタブレット端末を活用した美術鑑賞授業を行う出前アート体験を実施しております。
また、このような取組の充実に向け、新たに教員のための無料美術館体験を開始いたします。まずは、気軽に市立学校の教員が美術館を訪れ、美術館の魅力を体感してもらうとともに、学校現場の多様な意見やニーズを把握いたします。その上で、新たなプログラムを企画するなど、小中学校との連携を推進してまいります。
以上でございます。
◆(くずや利枝君)
それぞれに御答弁をいただきました。ありがとうございます。
初めに、トワイライトにおける体験活動の充実について、私から意見を述べさせていただきます。
子供の体験活動は、子供の学習意欲や主体性などの社会性スキルにも影響をもたらすと言われており、文部科学省でも重要な教育政策として推進されています。
また、子供の体験活動に関する民間団体の調査では、スポーツや音楽などの習い事、自然体験や文化体験への子供の参加状況について、年収300万円未満の世帯の子供の約3人に1人は経済的理由により学校授業以外の体験機会が何もなく、年収600万円以上の世帯と比較すると、約2.6倍の差が生じているといった調査結果も出ています。
家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供に対する体験活動の機会の一つとしてトワイライトの役割に期待するとともに、トワイライトの満足度向上のためにも、さらなる体験活動の充実が必要と考えますので、民間事業者との連携強化を含めて、今まで以上の取組を進めていただきますよう、重ねて要望を申し上げまして、本件に対する質問を終わります。
次に、美術館における子供の利用者増加に関して、新たに教員に対する取組を含めて前向きな御答弁をいただきましたが、未就学児に対する取組についても、教育長に再度お尋ねをいたします。
他都市の美術館の取組を見てみますと、横浜美術館では、教育プログラムとして、市内の幼稚園、保育園、小学校、特別支援学校と連携した取組を行っています。
ほかにも、岡山県倉敷市の大原美術館では、未就学児童対象プログラムとして、市内の幼稚園、保育園を対象に、一人の園児が複数回美術館を訪れて絵画鑑賞や美術探検を楽しむといった取組が行われています。大原美術館のこの取組は、1993年から始められ現在まで30年継続していることから、初期の子供たちは社会人となり、再び美術館を訪れる姿が見られるそうです。
このように、幼稚園、保育園も含めた子供向けプログラムを充実することは、芸術、美術に親しむ機会の提供により、教育面や人格形成に影響を与えるとともに、美術館へ足を運ぶことで、将来的なリピーターになるきっかけにつながるものと考えます。
そこで、小中学校との連携以外にも、未就学児やその保護者を含めた家族みんなで楽しく美術に触れる、親しむことができるような取組など、広く子供を対象とした利用促進への取組に対するお考えをお尋ねいたしまして、私からの2回目の質問とさせていただきます。
◎教育長(坪田知広君)
教育委員会には、美術館における子供の利用者増加に向けた取組に係る小中学校との連携以外での取組について、再度お尋ねをいただきました。
小中学校との連携以外では、子供と現役作家などが共に作品をつくるワークショップや、保護者が周囲に気兼ねすることなく未就学児と一緒に美術鑑賞を楽しめるベビーカーツアーなどの取組を実施してまいります。
また、新たな取組として、家族で気軽に訪れることができるような展覧会の開催を検討することで、子供たちやその家族の来館につなげてまいります。
美術館は今年で開館35周年の節目の年を迎えました。時代の変化とともに変わる学校現場や市民生活の状況に呼応しながら、子供たちに将来の美術館のリピーターになってもらえるような魅力あふれる美術館となるように取組を進めてまいります。
以上でございます。
◆(くずや利枝君)
未就学児を対象とした取組について、前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。
社会の価値観が多様化し、従来の知識の詰め込みではなく、創造性を身につけていくことが今の子供たちには求められています。そのような中で、今まで以上に、幼少期からの子供たちの感性を養うような教育面での役割を教育委員会の所管である美術館に期待するとともに、開館35周年の節目に合わせて、ぜひ従来にない新たな取組を前向きに進めていただきますよう、重ねて要望を申し上げまして、私の全ての質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
令和5年(2023年)9月定例会
◆(くずや利枝君) 議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、eスポーツに係る本市の取組について質問をいたします。
eスポーツはエレクトロニック・スポーツの略で、一般にはコンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えるものであります。特徴として、年齢や性別、国籍、障害等の壁を越えて、誰もが参加できるコミュニケーションツールとしての利用も進んでおり、近年、国内においても市場規模やファン数は年々拡大し、経済効果の観点でも今後が期待される市場と言えます。
ちょうど来週から、第19回アジア競技大会が中国・杭州で開催されますが、eスポーツが初めて正式競技として実施され、メダル獲得に挑む日本代表選手の活躍が期待されます。そして、2026年、本市及び愛知県において開催される第20回アジア競技大会においても、eスポーツが正式競技として採用されることが本年7月に決定いたしました。
さらに、今月、国際オリンピック委員会--IOCは、eスポーツ委員会を新設したことを発表し、五輪での採用を目指す動きも世界的に進んでいるほか、国としても、文部科学省所管の日本スポーツ振興センターや関連団体、企業が連携し、eスポーツの選手の強化を後押しするなど、具体的な支援の検討に入っています。
また、名古屋市内においても、民間のeスポーツ関連施設が複数できており、eスポーツのプロチームが立ち上がるなどの動きが出ています。
一方で、行政として、本市における具体的な取組は見えてきません。
現在、多くの自治体において、eスポーツの特性である年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが参加できる特徴を生かして、地域の社会課題の解決にeスポーツを活用する事例が全国的に増えています。
例えば、富山県では、高齢者の介護予防、健康増進を目的に、県立大学と連携した高齢者向けeスポーツ等による介護予防モデル事業、シニア向けの全国eスポーツ大会の開催、高齢者向けのeスポーツ体験事業を実施するなど、高齢者向けのeスポーツ事業に予算を拠出しています。
また、東京都では、障害のある方が操作できるように加工、開発されたコントローラーを障害者福祉施設等に貸し出し、障害のある方もその人に合わせた環境でスポーツを楽しめる機会の提供として、eパラスポーツ事業を展開しています。
このように、eスポーツは誰でも参加することができ、楽しむことができるユニバーサルスポーツであり、eスポーツが持つ特性や可能性を様々な社会課題の解決に最大限に活用していく取組が、本市においても必要ではないかと考えます。
そこで、スポーツ市民局長にお伺いをいたします。本市及び愛知県で開催される2026年のアジア競技大会において、eスポーツが正式競技として採用されたことを契機として、大会前、大会後にわたって、本市におけるeスポーツへの今後の取組をどのように考えているのか、当局としてのお考えをお尋ねいたします。
次に、医療的ケア児への支援について質問をいたします。
初めに、医療的ケア児に対する職員への理解促進、そして、市民への周知啓発についてお尋ねをいたします。
近年の医療技術の進歩を背景として、日常生活で人工呼吸器や経管栄養、喀たん吸引などの医療的ケアを必要とする障害児は年々増加しており、平成28年に児童福祉法が改正され、その後、令和3年には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立するなど、法体系の整備も進められ、本市においても、令和元年度には医療的ケア児実態把握調査を実施し、医療的ケア児に対する支援、サービスの情報を集約したウェブサイトを構築するなど、これまでにも様々な取組を行っています。
しかしながら、先日、日常的に喀たん吸引が必要な医療的ケア児である4歳の女の子を育てる保護者の方から、医療的ケア児への法整備が進み、支援の充実に期待をしている一方で、区役所等での現場職員の理解が追いついておらず、相談窓口で十分な対応をしてもらえず、非常にショックを受けたというお話を伺いました。
具体的には、医療的ケア児に関する相談のため保健センターを訪れたが、窓口担当者の理解不足により、医療的ケア児とはどのようなお子さんなのか、どのように支援すればよいのかと逆に聞き返されてしまったそうです。区役所や支所は、障害福祉や児童福祉などのサービスを利用するための受付窓口であり、保健センターは医療的ケア児も含めたお子さんと保護者の総合的な相談窓口である重要な行政機関であるにもかかわらず、現場の理解不足により、十分な支援、サービスを提供できないということはあってはならないことであります。
そのような中で、先週、区役所や支所、保健センターの現場職員を対象に、医療的ケア児とその家族の現状を正しく理解することを目的とした研修が本市において初めて開催されたと聞いております。
相談窓口となる現場職員を対象に医療的ケア児への理解促進を図ることは、大変重要であり、有意義な取組と考えます。しかし、職員には毎年人事異動があることから、異動により初めて医療的ケア児の相談に関わる職員が出てくることが想定されますので、今回初めて医療的ケア児への支援研修が開催されたということでありますが、今後も継続して実施していくことが必要であると考えます。
あわせて、区役所・支所や保健センターの職員だけでなく、市民にも広く医療的ケア児について知ってもらうことも大切であると考えます。
例えば、発達障害については、平成17年に発達障害者支援法が施行して18年が経過したところですが、法律成立時から発達障害についての市民の認知度は高まり、令和4年度の本市の市民アンケート結果では、約6割が発達障害について知っているとのことでした。
発達障害と比較すると対象となるお子さんの数が少ないということはありますが、医療的ケア児という言葉が初めて法律で明記された平成28年から約7年が経過している中で、実際に保健センターの窓口職員も医療的ケア児について知らなかったように、いまだに認知度は低い状況ではないかと感じております。
また、冒頭で申し上げた医療的ケア児である4歳の女の子は、日常生活で運動もできるため、状況を知っているお友達やその家族からはバスケットボールなどの遊びにも誘われますが、首に人工器具を装着しているその外見から、運動することは難しいであろうと先入観を持たれることもあるそうです。
認知度や理解度の低さは誤解を招き、医療的ケア児とその家族が疎外感を感じる要因になりかねません。医療技術の進歩により、今後も医療的ケア児の増加が見込まれる中で、周囲を含めて広く正しく知ってもらうことが医療的ケア児とその家族が地域で社会生活を送る上で大変重要であると考えます。
そこで、子ども青少年局長にお尋ねをいたします。医療的ケア児とその家族が安心して相談できるようにするため、そして、区役所・支所や保健センターの職員が不安を抱えることなく窓口対応を行えるようにするためにも、先日開催されたような医療的ケア児への理解促進を図る研修を今後も継続的に実施するなど、職員への理解促進を図る必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
また、令和3年9月に施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律において、地方公共団体は、医療的ケア児への市民の理解を深めるため、様々な場を通じて広報や啓発活動を行うものとすることが規定されております。本市において、市民に対する医療的ケア児に関する広報や周知啓発をどのように進めていくのか、御答弁をお願いいたします。
続いて、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の今後の方向性についてお尋ねさせていただきます。
医療的ケア児が安心して日常生活を送っていくためには、医療や福祉、様々なサービスを利用していく必要がありますが、これらの支援やサービスを総合調整する医療的ケア児等コーディネーターを養成して、各自治体に配置していくことが全国的に進められており、本市においても、令和元年度から養成研修を開始し、これまで約100名ほどのコーディネーターが養成されていると伺っております。
養成されたコーディネーターは、障害福祉サービスの相談支援事業所や訪問介護ステーションなどで勤務し、医療的ケア児とその保護者の生活の支えとなり、各地域で活躍されています。
さらに、本市においては、コーディネーターが対応に困ったときに相談ができるよう、医療的ケア児への支援経験が豊富なスーパーバイザーを配置する、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業を令和3年8月から実施しており、モデル事業の開始から約2年が経過しております。
このモデル事業については、コーディネーターへの専門的な助言、支援難度の高い個別的な相談支援を行うなどニーズも高く、今年度から1人増員し、2名体制に拡充していますが、今後も医療的ケア児が年々増加することを想定すると、さらなる体制の強化が必要ではないか、また、モデル事業としてではなく、恒常的な事業として位置づけて実施していくことを判断する時期に来ているのではないかと考えます。
そこで、本市における医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業について、どのように評価し、また、本事業の今後の方向性についてどのように考えているのか、子ども青少年局長の御答弁をお願いいたします。
これをもちまして、私からの1回目の質問を終わります。(拍手)
◎スポーツ市民局長(鳥羽義人君) スポーツ市民局に対しまして、eスポーツに係る本市の取組についてお尋ねをいただきました。
eスポーツは、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、同じルールの下で競い合える楽しさがありまして、全国的にもeスポーツ観戦者数の増加や市場規模の拡大が期待されているところでございます。
特に、第20回アジア競技大会でeスポーツが実施競技として決定されたことから、本市といたしましても、eスポーツの啓発・振興に取り組み、アジア競技大会に向けて機運の盛り上げを図るべきと考えております。
まずは来年度、体験イベントなど、市民がeスポーツに触れる機会を増やすことで、市民のeスポーツへの関心を高めていけるよう検討してまいりたいと存じます。
また、eスポーツは、身体能力の違いによる影響が少ない競技でありまして、幅広い人々が交流し、コミュニケーションを取ることができるものと考えております。
こうしたeスポーツの持つ価値は、議員御指摘の高齢者への施策など、本市の抱える様々な課題の解決にも活用し得るものと認識をしております。スポーツ市民局が旗振り役となりまして、アジア競技大会の前後を通じて、eスポーツを活用した事業展開が図られるよう、関係局へ働きかけてまいります。
とりわけ、当局が所管する障害者スポーツの分野におきましては、先行して事業を展開し、ノウハウを蓄積してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎子ども青少年局長(佐藤誠司君) 子ども青少年局には、医療的ケア児への支援について、2点のお尋ねをいただきました。
まず、本市職員への理解促進及び市民への周知啓発についてでございます。
議員御指摘のとおり、近年、医療技術の進歩などを背景に、日常生活を送るために医療的ケアを必要とする子供が増えている中で、平成28年に児童福祉法が改正され、保健、医療、障害福祉、保育、教育など、様々な分野の関係機関の連携を図るよう努めることとされました。
本市では、これまで子ども青少年局を中心に関係局の御協力もいただきながら、各関係機関の連携を進めるための協議の場を設置、運営してきたほか、医療的ケア児とその家族の方が利用できる支援、サービスの情報を集約したウェブサイトを公開するなど、他都市に先駆けて様々な取組を行ってきたところでございます。
議員からお尋ねいただきました区役所・支所や保健センターの職員を対象とした研修につきましては、これまで障害福祉サービスの支給決定や保育所の利用など、各業務を行うために必要となる範囲で実施してきたところでございますが、今月初旬、本市としては初めて職員向けに医療的ケア児に関する研修を行ったところでございます。
この研修では、現に医療的ケア児を育てる保護者にもお声がけをし、直接、子育てをしている現状や日常生活の様子についてお話をいただきました。
受講後のアンケートを見ますと、医療的ケア児を育てる家族の気持ちを理解することができた、今後の支援に役立てたいなど、大変好評であったため、この研修は非常に有意義であったと感じるとともに、今回1回で終わらせてはいけないと実感したところでございます。
したがいまして、議員御指摘のように、医療的ケア児とその家族が安心して区役所・支所や保健センターの窓口で相談することができるよう、毎年内容を工夫しながら、継続的に職員向けの研修を実施するなど、職員への理解促進を図ってまいりたいと考えております。
また、医療的ケア児に関する市民への周知啓発につきましては、これまで広報なごやの特集を活用するなどの取組を行ってきたところではございますが、法の規定にもございますように、様々な場を通じて行っていく必要があるものと認識いたしております。今後も様々な手法を用いながら、広報及び周知啓発を進めてまいりたいと考えております。
次に、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の今後の方向性についてでございます。
医療的ケア児とその家族に対する様々な支援、サービスを総合調整する医療的ケア児等コーディネーターについて、本市では、これまで105人のコーディネーターを養成してきたところでございます。
また、令和3年度からコーディネーターに対するフォローアップ研修を実施しているほか、同年8月から医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業を開始し、今年度から1名増員して2名体制に拡充するなど、国の仕組みを上回るような、医療的ケア児とその家族への相談支援体制の充実に努めてきたところでございます。
現在、事業の検証のさなかではございますが、コーディネーターに対するアンケート結果によりますと、行政に対して最も期待していることが、スーパーバイズできる人からの助言、アドバイスであることから、事業の必要性を強く認識しているところでございます。
また、スーパーバイザー1人が後方支援を行うことが可能なコーディネーターの数は約30人程度ではないかと見込んでおりまして、さらなる体制強化が必要になるのではないかと考えているところでございます。
今後、さらに検証を進めるとともに、医療的ケア児の支援に関する協議の場における御意見なども参考にしながら、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の本格実施への移行について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆(くずや利枝君) それぞれに御答弁をいただきました。
初めに、eスポーツに係る本市の取組について、私から要望を述べさせていただきます。
本市は、2026年のアジア競技大会の開催及びその後を見据え、令和3年度に名古屋市スポーツ戦略を策定し、計画期間を令和12年度までの10年間としています。
このスポーツ戦略の中で、eスポーツに関しては、eスポーツのよさを生かしながら、障害の有無等にかかわらず、スポーツをする楽しさを広めていくとの記述もありますが、2026年のアジア競技大会に向けたeスポーツの機運醸成が単なる一過性で終わるのではなく、大会のレガシーの一つとなるよう、本市におけるeスポーツの振興及び高齢者の介護予防といった社会課題の解決に向けた事業展開への取組についても、スポーツ市民局が旗振り役となり、時間軸を持って着実に進めていただきますよう要望を申し上げます。
続きまして、医療的ケア児への支援について、子ども青少年局長に再度お尋ねをいたします。
区役所や保健センターの現場職員を対象とした医療的ケア児に関する研修について、今後も継続的に実施するとの前向きな御答弁をいただきました。
医療的ケア児の支援については、医療や福祉をはじめ、多くの職種の方々の協力の下に行われておりますので、毎回同じ研修を継続するのではなく、説明者や内容を工夫して実施し、医療的ケア児を育てる保護者が行政の受付窓口で安心して相談できる環境整備をお願いいたします。
また、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業についても、現時点の検証状況をお聞きし、私としても、さらなる体制強化の必要性を再認識しましたとともに、本格実施に向けて検討するという局長の心強い御答弁をいただき、ありがたく思います。
コーディネーターとスーパーバイザーがそれぞれ協力しながら、医療的ケア児と保護者をライフステージに合わせてしっかりと支えていく体制整備を進めていただくためにも、来年度には本格実施に移行できるよう要望させていただきます。
一方で、市民に対する周知啓発についても前向きな御答弁をいただきましたが、もう少し具体的に踏み込むことができないかと感じております。
他都市の取組状況としまして、横浜市では、専門的な用語も多く、分かりにくい医療的ケアの内容について、イラストを交えながら分かりやすく伝えるための冊子を作成するなど、医療的ケア児のことを広く理解してもらうための取組をしています。
また、国においても、本年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針の中で、医療的ケア児の支援を強化していく方向性が示されるなど、この国の大きな流れに本市も後れを取ることなく、医療的ケア児に関する施策を充実していく必要があると考えます。
ついては、先ほど申し上げたような、広く市民にも分かりやすく医療的ケアのことを伝える冊子を配布するなど、さらなる市民への周知啓発の取組について、具体的かつ早急に御検討いただけませんでしょうか。ぜひもう一歩踏み込んだ御答弁をお願いいたします。
◎子ども青少年局長(佐藤誠司君) 子ども青少年局には、市民への周知啓発を早急に検討することについての考えについて、再度のお尋ねをいただきました。
先ほど答弁いたしましたように、このたび、初めて職員研修を実施したところでございますが、日頃から子供や保護者の支援に携わっている職員についても、医療的ケア児の理解を一層深める必要があると感じたところでございます。
一方、市民の方にも、医療的ケア児の特性や必要な配慮などについて広く知っていただくことが必要であると考えております。医療的ケア児のことを市民の皆様に分かりやすく知っていただくため、さらなる周知啓発の取組につきましては、お示しをいただきました他都市の事例も参考にしながら、冊子やウェブサイト、動画など様々な手法を視野に入れ、来年度の実施に向けて検討してまいります。
以上でございます。
◆(くずや利枝君) 来年度の実施に向けて、前向きで具体的な御答弁をありがとうございます。
ぜひ横浜市にも負けない、どこよりも分かりやすい形で作成していただけるようお願いを申し上げます。そして、最終的には、作成されたものが多くの市民の方に行き届かなければ、せっかく作ったとしても意味がありません。多くの市民の方に行き届くよう様々な場で活用して、広報、周知啓発に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
医療的ケア児について、職員や市民の皆様が関心を持っていただくことで、御家族にとっては不安の軽減であったり、孤立の防止になるものと考えており、ひいては、誰一人取り残さない社会の実現につながるのではないかと考えています。
今回の職員への理解促進や市民への周知啓発も含め、医療的ケア児とその家族への支援がさらに充実していくことを要望いたしまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
令和5年(2023年)11月定例会
◆(くずや利枝君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
最初に、女性のための総合相談支援について質問いたします。
今月11月12日から25日までの期間は、配偶者やパートナーからの暴力、性犯罪、セクシュアルハラスメント、ストーカー行為など、女性の人権を侵害する暴力の根絶を訴えるパープルリボンキャンペーン、女性に対する暴力をなくす運動期間でありました。女性が日常生活や社会生活を送る上で、非正規雇用、子育て、介護、DVや性的被害など、様々な課題や困難に直面することが多くあります。
社会との絆やつながりが薄くなる現代において、誰にも相談することができず一人で悩み、苦しむ女性に対して寄り添った支援を行う窓口として、本市では、男女平等参画推進センターであるイーブルなごやにおいて、女性のための総合相談を設置しています。以下、女性相談と呼びます。
この本市における女性相談への相談内容の内訳を見ますと、冒頭のパープルリボンキャンペーンの趣旨であるDV等の暴力に関する相談が令和4年度では最も多く約31%であり、例年、相談件数が全体の2割から3割を占めています。また、警察庁の調査によると、DV等に関する事案の相談者の約7割は女性であり、年齢別では30代が最も多く約26%、次いで20代が約24%であり、DV等の相談者の約半数が20代から30代という実態があることから、本市の女性相談においても、20代や30代などの若年層がより気軽に相談できるような体制が必要と考えます。
そこで、これまで本市の女性相談は、電話相談を入り口として、面接相談、専門相談が行われておりましたが、今年度に入り、試行的にLINE相談を期間限定で実施されたと聞いております。LINE相談は、特にSNSの利用が多い若年層に対して相談の敷居が低くなる点で有意義な取組であると考えます。また、ほかの自治体においても、相談窓口の一つの入り口としてLINEを活用するケースは増えており、札幌市や千葉市においても、女性相談にLINE相談を運用し、継続して情報案内を行うほか、専門相談窓口や関係機関・団体と連携したきめ細かい支援を実施しています。
そこで、スポーツ市民局長にお尋ねをいたします。本市におけるLINE相談の試行実施の内容と課題及び今後の対応について見解をお尋ねいたします。
次に、女性活躍の推進と固定的性別役割意識の解消についてお尋ねをいたします。
今年の6月に、世界経済フォーラムがグローバル・ジェンダー・ギャップ・リポート2023を発表し、その中で、各国における男女格差をはかるジェンダーギャップ指数が示されました。
日本のジェンダーギャップ指数は146か国中125位で、順位は過去最低でありました。この指数は、政治、経済、教育、健康の4分野のデータから作成され、特に政治分野が世界最低クラスの138位で、男女格差が埋まっていないことが改めて示されました。政治分野の格差解消をするためにも女性議員の一人として、自分にできる取組を進めてまいりたいと気持ちを新たにしたところです。
さて、今回取り上げたいのは経済分野の取組です。経済分野の課題としては、労働参加率の男女比率、同一労働での賃金格差、女性管理職比率の低さなどが挙げられており、世界的に見ても下位に位置しています。国では、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が平成27年に成立し、本市においても、女性の活躍推進企業認定・表彰制度を女性活躍推進法の施行に先駆けて創設し、企業の女性活躍への取組を支援するとともに、名古屋商工会議所と協力して、女性活躍の取組状況に関する企業向けのアンケート調査を毎年実施しています。
女性が様々なライフステージで仕事を継続できる環境整備は進められていますが、世界と比較するとジェンダーギャップ指数の順位は過去最低となっている、なぜでしょうか。
私が当事者として思いますのは、これまで女性に対する施策は行われているものの、男性の長時間労働は十分に改善されておらず、このことが男性の家事、育児への参画が進まない要因、女性に家事・育児負担が集中する要因になっているものと考えます。共働き世帯が約7割を占める現在の社会環境の中で、従来どおりの家事、育児に加えて仕事の両立を目指すことは、女性の負担が増加する一方です。今後、社会全体としてさらなる女性活躍を目指すためには、男性の変革が不可欠であると考えます。
昨年度の内閣府の世論調査では、職業生活において女性の活躍が進まない理由として、女性の8割以上が、女性に家事・育児等が集中していることを挙げています。また、内閣府の男女共同参画白書では、家事・育児・介護の時間と仕事の時間に関して、未就学児がいる夫婦の世帯では、女性の仕事時間は男性の約0.8倍である一方、女性の家事時間は男性の約2.8倍、女性の育児時間は男性の約2.1倍であり、女性の家事・育児時間は男性の2倍以上となっている実態がうかがえます。
一方で、仕事と家事・育児の考え方に関する調査では、女性は家事・育児時間を減らしたい、男性は仕事時間を減らし、家事・育児時間を増やしたいという傾向が増えており、特に、若い世代でその割合が高い結果となっています。
特に、若い世代において、仕事や家事・育児等に対する考え方が変わりつつある中、今年度からは男性の育児休業の取得を後押しする改正育児・介護休業法も全面施行され、企業には女性だけでなく男性も育児休業を取得しやすい職場環境の整備や働き方の見直しが求められています。
そこで、スポーツ市民局長にお尋ねをいたします。本市が実施する女性活躍推進に係るアンケートについて、名古屋市内の企業ではどのような変化があり、当局としてどのように現状と課題を認識しているのか、また、調査結果を踏まえて、今後どのような取組を検討されているのか、見解をお尋ねいたします。
以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
◎スポーツ市民局長(鳥羽義人君) スポーツ市民局に対しまして、女性のための総合相談支援について及び女性活躍の推進と固定的性別役割意識の解消についてお尋ねをいただきました。
女性のための総合相談につきましては、まずは電話で相談をお受けしておりますが、20代から30代の方からの相談件数が全体の約1割程度と若年層の相談件数が少ないことから、相談窓口の拡充に向けまして、LINEを活用した相談を令和5年8月から10月にかけて試行実施したところでございます。
周知につきましては、LINE広告を中心に実施したところでございますが、試行の結果、20代から30代の方からの相談件数が全体の約6割を占めたことから、LINEを活用した相談は若年層がより相談につながるための役割を担うことができるものと考えております。
一方、LINEを活用した相談の特徴として、電話と異なり、文字のみのやり取りとなるため、相談者の話の受け止めや問題の整理に当たっては、文字による相談スキルも必要になるという課題があったことから、専門家による助言をいただきながら相談に当たったところでございます。
今後も若年層を含めた多くの方々の相談を受け止めることができるよう、LINEを活用した相談につきましては、相談員の対応スキルの向上を図りながら、令和6年度から通年で実施できるよう検討してまいります。
次に、女性活躍の推進と固定的性別役割意識の解消についてでございます。
女性活躍推進法が施行されたことを受け、平成28年度より名古屋商工会議所会員企業等を対象とした女性の活躍推進に係るアンケート調査を実施しております。平成28年度の調査では、女性活躍について推進していると回答した企業の割合が全体の76.3%であったのに対し、直近の令和5年度の調査では87.4%となっておりまして、着実に女性活躍推進への意識が高まっていると考えております。一方で、女性の活躍推進に当たっての課題について、家事や育児の負担を考慮する必要がある、時間外労働させにくいと答えた企業が最も多くなっております。
また、議員御指摘のとおり、内閣府の調査において、仕事時間が男性、家事関連時間が女性に大きく偏っていることからも、固定化した性別役割分担の意識が女性の活躍を推進する上での課題になっているものと認識しております。
そのため、従来から実施している女性が仕事で活躍できるような支援だけではなく、男性も家事や育児に参画するという視点が重要と考えておりまして、今年度から、男性の家事・育児シェアや育児休業取得につながるセミナーを実施するとともに、男性のロールモデルの紹介を始めたところでございます。
今後も男性側の視点に重点を置いた意識啓発を継続して実施していくことで、男性の積極的な家事、育児への参画を促進し、女性の家事、育児の負担を減らし、女性の社会でのさらなる活躍につなげてまいりたいと考えております。
また、こうした取組の基礎となるアンケート調査について、対象とする企業を拡大するとともに、企業の取組や実態など、より詳細な内容を把握することで、本市といたしましても効果的な意識啓発に反映できるよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆(くずや利枝君) 御答弁ありがとうございます。それぞれ要望を申し上げます。
まず、女性相談支援について、LINE相談では、30代以下の若い世代からの相談が増え、新たな相談者の受入れ、支援につながったものと考えます。今後は、ぜひ高校生や大学生向けの取組も強化していただき、デートDVや友人関係など若者特有の悩みを抱える女性の相談支援につなげていただきたく思います。
また、LINE相談の通年実施に当たっては、体制面や予算面での制約もあると思いますが、相談日時の拡充も含め、早期に開始できるよう検討していただき、相談者が相談したいときにつながることが理想でありますので、間口を広げてきめ細かい支援をしていただきますよう要望させていただきます。
次に、女性活躍の推進と性別役割意識の解消について要望を申し上げます。
固定化した性別役割分担の意識が女性の活躍を推進する上での課題になっていると当局も認識されているとのことですが、この点に関連して、先月、大変残念に思う事案がありました。
市長が、定例会見の中で、マイナンバーカードを使用した公的証明書のコンビニ交付を政令指定都市で唯一名古屋市が実施していないことに対して、奥さんが区役所に取りに行けばええという発言をされました。共働きの奥さんは、旦那さんの証明書を平日に仕事を休んで取りに行かないといけないんでしょうか。独り親で奥さんがいない家庭は誰が取りに行けばいいんでしょうか。
この発言こそ固定化した性的役割分担の押しつけであり、男性は仕事、女性は家庭の一方的な家庭像の押しつけ、女性の活躍を推進するどころか否定する発言、さらには、多様化する家族の在り方を否定する発言であり、行政の長の発言として到底許容できるものではありません。
この発言に対しては、私のところにも女性蔑視だという声が寄せられました。市役所にも市民からの意見が様々寄せられています。自分の人生を否定されたみたいで尊厳が傷つけられた、男女差別とも取れる発言であり、名古屋市のリーダーとして疑問を感じる、男女ともに働きやすい環境づくりをすることが市長の役割ではないか、市長としての資質に市民が疑問を抱いています。
当局におかれましては、この時代錯誤の市長の発言を反面教師に、さらなる女性活躍を推し進める一つの柱として、男性側の視点に重点を置いた意識啓発に向けた取組を、育児の当事者世代に限らず、幅広い年代層を対象に進めていただきますよう要望を申し上げて、私からの全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
令和6年(2024年)2月定例会
◆(くずや利枝君) 議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、広報なごやの読者を増やす取組について質問をいたします。
先日、我が会派の浅野議員の代表質問において、アジア・アジアパラ競技大会の機運醸成に向けた本市の新たな取組として、令和6年9月号から広報なごやのページを増やし、両大会に関係する特集記事を連載していく旨を確認いたしました。両大会の機運醸成に向けて、大変有意義な取組だとは思いますが、紙離れが進んでいると言われている中で、そもそもこの広報なごやをより多くの市民に見てもらう取組が必要ではないかと考えます。
御存じのとおり、広報なごやには名古屋市が市民に伝えるべき市政情報が凝縮されており、生活・福祉や健康・スポーツなど様々な分野に関する情報のほか、乳幼児健診や保育園の申込みなど、子育て世代が知っておきたい情報もたくさん掲載されております。
実際に広報なごやが市民にどの程度読まれているのかを確認しますと、令和5年度に本市が実施した市政アンケートでは、全体の約80%の方が市政情報を広報なごやで確認すると回答しています。確かに多くの市民が広報なごやから市政情報を得ているようですが、年代別に見ると、20代では約39%にとどまっています。
また、広報なごやをどれくらいの頻度で読むかという問いに対しては、約58%の方が「ほぼ毎月」、約15%の方が「2~3か月に1回程度」と回答する一方で、約15%の方は「読まない」と回答しています。
読まないと回答した方の読まない理由としては、「読む習慣がないから」が約70%、「自分が知りたい情報が載っていると思わないから」が約20%であり、続いて、「「広報なごや」が発行されていることを知らなかったから」が約14%でありますが、この結果から推測すると、市民の中には、仕事や子育てで忙しい、あるいはそもそも市政に関心がないなど、様々な理由で広報なごやに目を通していない方が一定数いることがうかがえます。
広報なごやが市政情報を発信する中心的な媒体であり、市政情報を確実に届ける役割を担っていることは間違いないと思いますが、現状、広報なごやを読んでいない市民、必要としていない市民が一定数いることをしっかりと課題として認識し、より多くの方に読んでいただくためにさらなる工夫をしていくことが重要ではないかと考えます。
現在の広報なごやの表紙のデザインは、平成16年から採用されていますが、デザインが古臭いといった声も多く寄せられていると聞いています。具体的には、特に若い世代から見ると、題字の明朝体が堅苦しく感じられ、広報なごやを手に取る機会を遠ざけているのではないかと思います。実際に、先ほどの市政アンケートにおいても、広報なごやの表紙については約81%の方が変更してもよいと思うと回答しています。
資料もお配りしておりますが、他都市の広報紙として、神戸市では、表紙の題字にローマ字を使用し、レイアウトも洗練されたデザインに見受けられます。神戸市では、市政情報をより分かりやすく伝えるためにコンセプトを見直し、令和4年からデザインを変更したと聞いております。横浜市においても、従来の広報紙は高齢者によく読まれていましたが、若い世代や子育て世代にも広く読んでもらえるよう、令和5年から題字にローマ字などを使った新しいデザインに刷新したと聞いております。本市においても、題字レイアウトを明朝体からローマ字に変更するなど、ぜひ広く市民に興味を持ってもらえる洗練された表紙に刷新してはいかがでしょうか。
また、アジア・アジアパラ競技大会の特集と併せて、名古屋スポーツコミッション加盟チーム等の紹介も掲載していくと聞いておりますが、こうした取組は、これまで広報なごやを読んでいなかった、知らなかった市民はもちろん、スポーツファンの方など、市外、県外の方にも、名古屋市に興味を持っていただくよいきっかけになるものと考えます。
そこで、市長室長にお尋ねいたします。本市の中心的な広報媒体である広報なごやについて、アジア・アジアパラ競技大会の特集をきっかけにして新たな読者を増やしていくため、紙面をより読みやすく、分かりやすくするとともに、現状、広報なごやを読んでいない方にも周知していくことが必要であると考えますが、その点についてどのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせください。
次に、地域活動におけるICT活用の推進について質問をいたします。
名古屋市では、市区行政を円滑に運営し、市民の皆さんの自治意識を高め、理解と協力の下に行政の実を上げていくことを目的として、今から約55年前の昭和43年に区政協力委員制度が発足されました。この制度は名古屋市独自の制度であります。区政協力委員の主な職務は、広報広聴活動への協力、災害対策への協力、社会教育活動及び市民運動の推進などがあり、まさに地域活動の要であります。
区政協力委員は、町内会長や自治会長が兼務しているケースが多く、令和4年4月時点で区政協力委員の平均年齢は65.3歳と高齢世代が中心となっています。今年の4月には一斉改選を迎えますが、地域の方から成り手がいなくて困っているという声をお聞きすることも多く、今後の担い手不足が課題として挙げられます。また、時代とともにライフスタイルも大きく変化し、一人暮らしや高齢者単独の単身世帯、女性や高齢者の就業が増加する中で、地域活動や運営方法が今の時代にそぐわないものになりつつあることは担い手不足の大きな要因であると考えます。
このような社会環境の変化を背景に、総務省は、地域活動を持続可能なものとするためには、自治体が積極的に地域活動のデジタル化を推進することが有効であると打ち出しています。
全国的にも地域活動のデジタル化に対する自治体支援は広がっており、近隣の岡崎市では、電子回覧板や行事の出欠確認、開催中止の一斉連絡などがスマホやタブレットで操作できるアプリを活用して、地域活動の効率化を支援する実証実験を実施しており、モデル対象の町内会におけるアプリの導入経費を市が負担しています。
本市においても、既に地域活動のデジタル活用に積極的に取り組んでいる学区もあります。
例えば、守山区の上志段味学区の取組は、総務省が取りまとめる地域活動のデジタル化の好事例として掲載されておりますが、電子回覧板やLINE公式アカウント、エックス、インスタグラムなどのSNSを活用した情報発信に取り組み、地域活動が見える化されたことにより、若い世代が地域活動に参加しやすくなり、4年ぶりに開催した夏祭りにおいては130名を超える協力者があり、地域活動を担う新しい人材の発掘につながっていると聞いています。
また、名東区の極楽学区においても、LINE公式アカウントを活用して450名を超える登録者に学区情報を定期的に配信することで、学区住民の地域活動への積極的な参加やボランティアの確保につながっていると聞いています。
このようにICTツールやSNSを活用することで、実際に地域活動に参加しやすくなり、担い手の確保につながっている地域もあることから、本市としても、地域活動を持続可能なものとするための方策の一つとして、市内各地域での地域活動におけるICTツールやSNS等の活用をサポートし、後押しをしていく必要性があると考えます。
そこで、スポーツ市民局長にお尋ねをいたします。本市の地域活動におけるICT活用について、現状の課題についてどのように認識し、今後どのように取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。
以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
◆(くずや利枝君) それぞれに御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
まず、広報なごやの新たな読者を増やす取組について要望を申し上げます。
表紙の題字レイアウトの変更を含め、デザインの刷新についても前向きな御答弁をいただきました。ぜひ市民が読みたいと思える表紙にして、新たな読者が手に取りたくなる広報紙を目指していただきたく思います。
なお、神戸市では、広報紙のデジタル版だけで読むことができるオリジナル記事を掲載するなど、紙媒体に加えてウェブ媒体での読者を増やす工夫をしていますので、多様な手法で読者を増やす取組を検討していただきたいと思います。
また、アジア・アジアパラ競技大会の成功には、大会に対する市民認知度の向上や大会への理解を促進していくことが必要不可欠であります。紙面では、大会に関して競技や会場なども紹介していくことになると思います。
アンケートによると、広報なごやで読んでみたい記事として、約74%がお出かけスポットやグルメに関する記事に興味があると回答していますので、会場周辺のグルメ紹介など、その周辺も含めたまちの魅力を発信していくことで、市民の大会への関心も高まっていくと考えます。
今回、予算をかけて大会の機運醸成に向けた特集を実施していくことになるので、広報なごやでアジア・アジアパラ競技大会を盛り上げていくという気概を持って制作していただき、2026年の大会開催直前まで機運醸成をしっかり図っていくことを要望いたします。
次に、地域活動におけるICT活用について要望を申し上げます。
地域活動のデジタル化は、役員の負担軽減やペーパーレス化といった大きなメリットがあるほか、災害時における安否確認など防災の観点、高齢者の見守り活動など地域福祉の観点、子ども会活動など子育て支援の観点からも有効であると言われています。
地域活動のデジタル化を進めるに当たっては、行政からの一方的な押しつけではなく、個々の地域のニーズに応じた支援を行うとともに、取組意欲のある地域に対してはさらなる支援を行っていただくようお願いいたします。
また、デジタル機器に不慣れな方がいらっしゃることも忘れてはなりません。配慮が必要な方々へのサポート方法もしっかりと考えていただき、配慮の事例も共有していただくようお願いをいたします。
最後に、地域活動に携わる方々は、区政協力委員をはじめ、民生委員・児童委員、女性会、子ども会、老人クラブ、消防団、PTAなど様々あります。今回はスポーツ市民局長に御答弁をいただきましたが、名古屋市の関係する部局においても、地域活動におけるデジタル化の必要性を検討いただき、オール名古屋市でデジタル化を推進いただくよう要望を申し上げまして、私からの全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)