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議会活動

くずや利枝 くずや利枝

令和5年(2023年)6月定例会

○本会議 議案外質問
1 トワイライトスクール・ルームにおける体験活動の充実について
2 美術館における子どもの利用者増加に向けた取組について

◆(くずや利枝君)
このたび名東区より初当選をさせていただきましたくずや利枝でございます。よろしくお願いを申し上げます。
議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、トワイライトスクール・ルームにおける体験活動の充実について質問をいたします。
本市のトワイライトスクールまたはトワイライトルーム、いわゆるトワイライトでは、コロナ禍においても、子供たちの放課後の居場所を確保するため、地域の方々の御協力もいただきながら、様々な活動を実施してきました。
その中でも、地域の方々に講師となっていただき、和太鼓や琴などの伝統的な活動、茶道や華道などの文化的な活動、お手玉やおはじきなどの伝承遊びといった、各家庭で保護者だけでは教えることが難しいような活動も含めて様々な体験活動があり、子供たちも楽しんで参加していると聞いています。
ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、感染症対策を講じながらの運営ということで、実施回数が制限されてきました。小学校1校当たりの月間の平均的な実施回数を比較すると、コロナ前である令和元年度は一月に10.4回実施されていましたが、直近の令和4年度は6.7回と減少しています。
また、子供の体験活動の状況については、民間団体の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、非正規雇用労働者の世帯など所得が大きく減少した世帯のうち約半数が、子供の学びに関する困り事として、子供の体験機会の減少を挙げています。
子供の体験活動の減少は、子供の学習意欲の低下につながるといった調査結果もあります。コロナ禍における様々な制限により、学校授業での体験機会は、経済状況にかかわらず全ての子供たちにおいて減少していますが、低所得世帯の子供たちは、学校授業で失った体験機会を学校以外の場で補填するだけの経済的余裕が少ないという状況があります。
こうした家庭間における体験機会の格差が生じている中で、経済状況にかかわらず、全ての子供たちがトワイライトを通じて体験活動の機会を受けられる環境整備が、これまで以上に求められていると考えます。
このような状況の中で、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し、社会経済活動が徐々に再開されていく中で、トワイライトにおける体験活動の実施頻度を含めて、コロナ前の水準まで回復し、充実を図っていくことが必要であると考えます。
一方で、こうした体験活動の講師を担っていただく地域のボランティアの方々も、伝統的、文化的な活動の講師を中心に高齢化が進み、担い手不足が課題となっていると聞いています。小学生の子供がいる保護者からも、実際に担い手不足が原因で、学校によってはトワイライトの活動内容にばらつきがあるといった声を聞くことが少なくありません。
このような状況も踏まえて、今後は地域のボランティアの方々のみに頼るのではなく、地域の民間事業者等とも連携を強化し、御協力をいただくことで、各学校での体験活動をより充実することができるのではないかと考えます。
そこで、子ども青少年局長にお伺いいたします。現在でも、トワイライトの各運営事業者により、でらスポ名古屋加盟チームによるふれあいサッカーひろばやキッズ野球教室など、民間事業者の協力を得て様々な活動を実施されているようですが、各運営事業者で実施している体験活動では内容に限りがあるため、多様な民間事業者と関わりのある子ども青少年局が積極的にトワイライトに協力していただける民間事業者を開拓し、連携を図ることで、各学校における体験活動の充実につながると考えますが、当局としてのお考えをお尋ねいたします。
次に、美術館における子供の利用者増加に向けた取組について質問をいたします。
昨今の教育現場では、AIやIoTなど急速な技術の進展により、社会が速いスピードで変化し、多様な課題が生じている中で、これまでの文系、理系といった枠にとらわれず、各教科の学びを基盤として様々な情報を活用しながら、課題の発見・解決、社会的な価値の創造に結びつけていく資質・能力の育成が求められています。
これまで国際的にもサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス、この英語のS、T、E、Mの頭文字を取ったSTEM教育が新しい教育理念として進められています。
これに関連して、国においても、令和2年度から初等教育においてプログラミング教育を必修化する方針が文部科学省から発表され、小学校でのプログラミング教育の必修化やGIGAスクール構想に基づくタブレット等のICTを活用した教育を進めることとし、本市の小学校においても取組が進められています。
そして、最近では、このSTEM教育にアート--芸術、リベラルアーツを加え、英語のS、T、E、A、Mの頭文字を取ったSTEAM教育が国際的に広がりを見せています。具体的には、数学や科学の基礎知識を習得した上で、技術や工学を応用し、芸術的な感性を生かし創造的な手法を活用して問題解決につなげる能力を総合的に学習することを目的としており、文部科学省においても教科横断的な学習を推進しています。
さらに、このSTEAM教育の土台としては、幼児期からの様々な体験の充実、小学校・中学校での教科横断的な学習や探究的な学習の充実が重要であり、発達の段階に応じて、児童生徒の興味を生かし、教員が一人一人に応じた学習活動を課すことで、児童生徒自身が主体的に学習テーマや探究方法を設定することが重要であるとしています。
そこで、幼少期から小学校、中学校の義務教育において、子供の芸術的な感性や創造性を育む観点で、名古屋市美術館の活用について、教育長にお伺いをいたします。
名古屋市美術館は、教育委員会が所管する教育施設として、これまでも、美術館での学習プログラムとして市内の小中学校を受け入れるほか、出前アート体験として学芸員が小中学校に出向く学習プログラムを実施してきました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、コロナ前と比較すると、美術館を訪れる小中学校の件数は減少していると聞いています。
また、美術館は中学生以下の入館料を無料としていますが、直近の令和3年度の入館者数は25万人余り、また、中学生以下の入館者の割合は全体の7%であり、極めて少ない状況と言えます。
一方で、美術館と同じく白川公園の敷地内に立地し、教育委員会が所管する名古屋市科学館の令和3年度の入館者数は77万人余りであり、これは美術館の約3倍の入館者数であるほか、中学生以下の入館者の割合は全体の40%であり、科学館を訪れることはあっても美術館は訪れたことがない中学生以下の子供が多い現状がうかがえます。
もっとも、双方の施設の目的と性質が異なるため一様に比較はできませんが、美術館を訪れる中学生以下の利用者がもう少し増える余地はあるのではないか、中学生以下の子供たちに美術、芸術に親しみを持ってもらう、関心を持ってもらう取組に対する工夫が必要ではないかと考えます。
そこで、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類に移行し、今後、学校においても様々な活動が活発化していく中で、中学生以下の子供の利用促進に向けて、小中学校との連携をこれまで以上に推進していく必要性について、お考えをお尋ねいたしまして、私からの1回目の質問を終わります。(拍手)

◎子ども青少年局長(佐藤誠司君)
子ども青少年局には、トワイライトスクール・ルームにおける体験活動の充実についてお尋ねをいただきました。
本市のトワイライトは、放課後等に学校施設を活用して、異なる学年の子供たちが、友達と自由に遊んだり、学んだり、体験活動に参加したり、世代の異なる地域の方々と交流したりすることを通して、子供たちの自主性、社会性、創造性などを育むことを目的として実施しております。
トワイライトの体験活動につきましては、地域ボランティアの方々の御協力を中心として、様々な活動を実施しております。令和4年度に実施したアンケート調査では、利用児童の7割の子供たちから、楽しい講座があるとの回答があり、一定の評価はいただいているものの、残りの3割の子供たちは満足していないといった回答をしており、体験活動の充実は、当局といたしましても重要な課題として認識をしているところでございます。
議員御指摘のとおり、地域ボランティアの方々のみでなく、民間事業者の協力を得て、トワイライトの体験活動の充実を図っていくことは大変有意義なことと考えております。
昨年度、経済局が実施する起業家育成事業を5校で試行実施したところ、参加した子供たちからも大変好評であったため、今年度は実施校の拡充をいたします。また、新たに公民連携の一環として、民間事業者による防災講座も予定をいたしております。
こうした取組はまだまだ限定的ですので、子ども青少年局といたしましても、御協力いただける民間事業者の確保に努め、それぞれの事業者ならではのアイデアで子供たちが興味・関心を持って取り組める活動を実施する等、今後もより一層体験活動の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◎教育長(坪田知広君) 教育委員会には、美術館における子供の利用者増加に向けた取組についてお尋ねをいただきました。
美術館におきましては、学校に呼びかけを行い、校外学習や職場体験として児童生徒を受け入れるとともに、学芸員が学校に出向いてタブレット端末を活用した美術鑑賞授業を行う出前アート体験を実施しております。
また、このような取組の充実に向け、新たに教員のための無料美術館体験を開始いたします。まずは、気軽に市立学校の教員が美術館を訪れ、美術館の魅力を体感してもらうとともに、学校現場の多様な意見やニーズを把握いたします。その上で、新たなプログラムを企画するなど、小中学校との連携を推進してまいります。
以上でございます。

◆(くずや利枝君)
それぞれに御答弁をいただきました。ありがとうございます。
初めに、トワイライトにおける体験活動の充実について、私から意見を述べさせていただきます。
子供の体験活動は、子供の学習意欲や主体性などの社会性スキルにも影響をもたらすと言われており、文部科学省でも重要な教育政策として推進されています。
また、子供の体験活動に関する民間団体の調査では、スポーツや音楽などの習い事、自然体験や文化体験への子供の参加状況について、年収300万円未満の世帯の子供の約3人に1人は経済的理由により学校授業以外の体験機会が何もなく、年収600万円以上の世帯と比較すると、約2.6倍の差が生じているといった調査結果も出ています。
家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供に対する体験活動の機会の一つとしてトワイライトの役割に期待するとともに、トワイライトの満足度向上のためにも、さらなる体験活動の充実が必要と考えますので、民間事業者との連携強化を含めて、今まで以上の取組を進めていただきますよう、重ねて要望を申し上げまして、本件に対する質問を終わります。
次に、美術館における子供の利用者増加に関して、新たに教員に対する取組を含めて前向きな御答弁をいただきましたが、未就学児に対する取組についても、教育長に再度お尋ねをいたします。
他都市の美術館の取組を見てみますと、横浜美術館では、教育プログラムとして、市内の幼稚園、保育園、小学校、特別支援学校と連携した取組を行っています。
ほかにも、岡山県倉敷市の大原美術館では、未就学児童対象プログラムとして、市内の幼稚園、保育園を対象に、一人の園児が複数回美術館を訪れて絵画鑑賞や美術探検を楽しむといった取組が行われています。大原美術館のこの取組は、1993年から始められ現在まで30年継続していることから、初期の子供たちは社会人となり、再び美術館を訪れる姿が見られるそうです。
このように、幼稚園、保育園も含めた子供向けプログラムを充実することは、芸術、美術に親しむ機会の提供により、教育面や人格形成に影響を与えるとともに、美術館へ足を運ぶことで、将来的なリピーターになるきっかけにつながるものと考えます。
そこで、小中学校との連携以外にも、未就学児やその保護者を含めた家族みんなで楽しく美術に触れる、親しむことができるような取組など、広く子供を対象とした利用促進への取組に対するお考えをお尋ねいたしまして、私からの2回目の質問とさせていただきます。

◎教育長(坪田知広君)
教育委員会には、美術館における子供の利用者増加に向けた取組に係る小中学校との連携以外での取組について、再度お尋ねをいただきました。
小中学校との連携以外では、子供と現役作家などが共に作品をつくるワークショップや、保護者が周囲に気兼ねすることなく未就学児と一緒に美術鑑賞を楽しめるベビーカーツアーなどの取組を実施してまいります。
また、新たな取組として、家族で気軽に訪れることができるような展覧会の開催を検討することで、子供たちやその家族の来館につなげてまいります。
美術館は今年で開館35周年の節目の年を迎えました。時代の変化とともに変わる学校現場や市民生活の状況に呼応しながら、子供たちに将来の美術館のリピーターになってもらえるような魅力あふれる美術館となるように取組を進めてまいります。
以上でございます。

◆(くずや利枝君)
未就学児を対象とした取組について、前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。
社会の価値観が多様化し、従来の知識の詰め込みではなく、創造性を身につけていくことが今の子供たちには求められています。そのような中で、今まで以上に、幼少期からの子供たちの感性を養うような教育面での役割を教育委員会の所管である美術館に期待するとともに、開館35周年の節目に合わせて、ぜひ従来にない新たな取組を前向きに進めていただきますよう、重ねて要望を申し上げまして、私の全ての質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

令和5年(2023年)9月定例会

○本会議 議案外質問
1 eスポーツに係る本市の取り組みについて(スポーツ市民局)
2 医療的ケア児への支援について
  (1) 本市職員への理解促進及び市民への周知啓発
  (2) 医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の今後の方向性

◆(くずや利枝君) 議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず初めに、eスポーツに係る本市の取組について質問をいたします。
eスポーツはエレクトロニック・スポーツの略で、一般にはコンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えるものであります。特徴として、年齢や性別、国籍、障害等の壁を越えて、誰もが参加できるコミュニケーションツールとしての利用も進んでおり、近年、国内においても市場規模やファン数は年々拡大し、経済効果の観点でも今後が期待される市場と言えます。
ちょうど来週から、第19回アジア競技大会が中国・杭州で開催されますが、eスポーツが初めて正式競技として実施され、メダル獲得に挑む日本代表選手の活躍が期待されます。そして、2026年、本市及び愛知県において開催される第20回アジア競技大会においても、eスポーツが正式競技として採用されることが本年7月に決定いたしました。
さらに、今月、国際オリンピック委員会--IOCは、eスポーツ委員会を新設したことを発表し、五輪での採用を目指す動きも世界的に進んでいるほか、国としても、文部科学省所管の日本スポーツ振興センターや関連団体、企業が連携し、eスポーツの選手の強化を後押しするなど、具体的な支援の検討に入っています。
また、名古屋市内においても、民間のeスポーツ関連施設が複数できており、eスポーツのプロチームが立ち上がるなどの動きが出ています。
一方で、行政として、本市における具体的な取組は見えてきません。
現在、多くの自治体において、eスポーツの特性である年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが参加できる特徴を生かして、地域の社会課題の解決にeスポーツを活用する事例が全国的に増えています。
例えば、富山県では、高齢者の介護予防、健康増進を目的に、県立大学と連携した高齢者向けeスポーツ等による介護予防モデル事業、シニア向けの全国eスポーツ大会の開催、高齢者向けのeスポーツ体験事業を実施するなど、高齢者向けのeスポーツ事業に予算を拠出しています。
また、東京都では、障害のある方が操作できるように加工、開発されたコントローラーを障害者福祉施設等に貸し出し、障害のある方もその人に合わせた環境でスポーツを楽しめる機会の提供として、eパラスポーツ事業を展開しています。
このように、eスポーツは誰でも参加することができ、楽しむことができるユニバーサルスポーツであり、eスポーツが持つ特性や可能性を様々な社会課題の解決に最大限に活用していく取組が、本市においても必要ではないかと考えます。
そこで、スポーツ市民局長にお伺いをいたします。本市及び愛知県で開催される2026年のアジア競技大会において、eスポーツが正式競技として採用されたことを契機として、大会前、大会後にわたって、本市におけるeスポーツへの今後の取組をどのように考えているのか、当局としてのお考えをお尋ねいたします。
次に、医療的ケア児への支援について質問をいたします。
初めに、医療的ケア児に対する職員への理解促進、そして、市民への周知啓発についてお尋ねをいたします。
近年の医療技術の進歩を背景として、日常生活で人工呼吸器や経管栄養、喀たん吸引などの医療的ケアを必要とする障害児は年々増加しており、平成28年に児童福祉法が改正され、その後、令和3年には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立するなど、法体系の整備も進められ、本市においても、令和元年度には医療的ケア児実態把握調査を実施し、医療的ケア児に対する支援、サービスの情報を集約したウェブサイトを構築するなど、これまでにも様々な取組を行っています。
しかしながら、先日、日常的に喀たん吸引が必要な医療的ケア児である4歳の女の子を育てる保護者の方から、医療的ケア児への法整備が進み、支援の充実に期待をしている一方で、区役所等での現場職員の理解が追いついておらず、相談窓口で十分な対応をしてもらえず、非常にショックを受けたというお話を伺いました。
具体的には、医療的ケア児に関する相談のため保健センターを訪れたが、窓口担当者の理解不足により、医療的ケア児とはどのようなお子さんなのか、どのように支援すればよいのかと逆に聞き返されてしまったそうです。区役所や支所は、障害福祉や児童福祉などのサービスを利用するための受付窓口であり、保健センターは医療的ケア児も含めたお子さんと保護者の総合的な相談窓口である重要な行政機関であるにもかかわらず、現場の理解不足により、十分な支援、サービスを提供できないということはあってはならないことであります。
そのような中で、先週、区役所や支所、保健センターの現場職員を対象に、医療的ケア児とその家族の現状を正しく理解することを目的とした研修が本市において初めて開催されたと聞いております。
相談窓口となる現場職員を対象に医療的ケア児への理解促進を図ることは、大変重要であり、有意義な取組と考えます。しかし、職員には毎年人事異動があることから、異動により初めて医療的ケア児の相談に関わる職員が出てくることが想定されますので、今回初めて医療的ケア児への支援研修が開催されたということでありますが、今後も継続して実施していくことが必要であると考えます。
あわせて、区役所・支所や保健センターの職員だけでなく、市民にも広く医療的ケア児について知ってもらうことも大切であると考えます。
例えば、発達障害については、平成17年に発達障害者支援法が施行して18年が経過したところですが、法律成立時から発達障害についての市民の認知度は高まり、令和4年度の本市の市民アンケート結果では、約6割が発達障害について知っているとのことでした。
発達障害と比較すると対象となるお子さんの数が少ないということはありますが、医療的ケア児という言葉が初めて法律で明記された平成28年から約7年が経過している中で、実際に保健センターの窓口職員も医療的ケア児について知らなかったように、いまだに認知度は低い状況ではないかと感じております。
また、冒頭で申し上げた医療的ケア児である4歳の女の子は、日常生活で運動もできるため、状況を知っているお友達やその家族からはバスケットボールなどの遊びにも誘われますが、首に人工器具を装着しているその外見から、運動することは難しいであろうと先入観を持たれることもあるそうです。
認知度や理解度の低さは誤解を招き、医療的ケア児とその家族が疎外感を感じる要因になりかねません。医療技術の進歩により、今後も医療的ケア児の増加が見込まれる中で、周囲を含めて広く正しく知ってもらうことが医療的ケア児とその家族が地域で社会生活を送る上で大変重要であると考えます。
そこで、子ども青少年局長にお尋ねをいたします。医療的ケア児とその家族が安心して相談できるようにするため、そして、区役所・支所や保健センターの職員が不安を抱えることなく窓口対応を行えるようにするためにも、先日開催されたような医療的ケア児への理解促進を図る研修を今後も継続的に実施するなど、職員への理解促進を図る必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
また、令和3年9月に施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律において、地方公共団体は、医療的ケア児への市民の理解を深めるため、様々な場を通じて広報や啓発活動を行うものとすることが規定されております。本市において、市民に対する医療的ケア児に関する広報や周知啓発をどのように進めていくのか、御答弁をお願いいたします。
続いて、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の今後の方向性についてお尋ねさせていただきます。
医療的ケア児が安心して日常生活を送っていくためには、医療や福祉、様々なサービスを利用していく必要がありますが、これらの支援やサービスを総合調整する医療的ケア児等コーディネーターを養成して、各自治体に配置していくことが全国的に進められており、本市においても、令和元年度から養成研修を開始し、これまで約100名ほどのコーディネーターが養成されていると伺っております。
養成されたコーディネーターは、障害福祉サービスの相談支援事業所や訪問介護ステーションなどで勤務し、医療的ケア児とその保護者の生活の支えとなり、各地域で活躍されています。
さらに、本市においては、コーディネーターが対応に困ったときに相談ができるよう、医療的ケア児への支援経験が豊富なスーパーバイザーを配置する、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業を令和3年8月から実施しており、モデル事業の開始から約2年が経過しております。
このモデル事業については、コーディネーターへの専門的な助言、支援難度の高い個別的な相談支援を行うなどニーズも高く、今年度から1人増員し、2名体制に拡充していますが、今後も医療的ケア児が年々増加することを想定すると、さらなる体制の強化が必要ではないか、また、モデル事業としてではなく、恒常的な事業として位置づけて実施していくことを判断する時期に来ているのではないかと考えます。
そこで、本市における医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業について、どのように評価し、また、本事業の今後の方向性についてどのように考えているのか、子ども青少年局長の御答弁をお願いいたします。
これをもちまして、私からの1回目の質問を終わります。(拍手)

◎スポーツ市民局長(鳥羽義人君) スポーツ市民局に対しまして、eスポーツに係る本市の取組についてお尋ねをいただきました。
eスポーツは、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、同じルールの下で競い合える楽しさがありまして、全国的にもeスポーツ観戦者数の増加や市場規模の拡大が期待されているところでございます。
特に、第20回アジア競技大会でeスポーツが実施競技として決定されたことから、本市といたしましても、eスポーツの啓発・振興に取り組み、アジア競技大会に向けて機運の盛り上げを図るべきと考えております。
まずは来年度、体験イベントなど、市民がeスポーツに触れる機会を増やすことで、市民のeスポーツへの関心を高めていけるよう検討してまいりたいと存じます。
また、eスポーツは、身体能力の違いによる影響が少ない競技でありまして、幅広い人々が交流し、コミュニケーションを取ることができるものと考えております。
こうしたeスポーツの持つ価値は、議員御指摘の高齢者への施策など、本市の抱える様々な課題の解決にも活用し得るものと認識をしております。スポーツ市民局が旗振り役となりまして、アジア競技大会の前後を通じて、eスポーツを活用した事業展開が図られるよう、関係局へ働きかけてまいります。
とりわけ、当局が所管する障害者スポーツの分野におきましては、先行して事業を展開し、ノウハウを蓄積してまいりたいと考えております。
以上でございます。

◎子ども青少年局長(佐藤誠司君) 子ども青少年局には、医療的ケア児への支援について、2点のお尋ねをいただきました。
まず、本市職員への理解促進及び市民への周知啓発についてでございます。
議員御指摘のとおり、近年、医療技術の進歩などを背景に、日常生活を送るために医療的ケアを必要とする子供が増えている中で、平成28年に児童福祉法が改正され、保健、医療、障害福祉、保育、教育など、様々な分野の関係機関の連携を図るよう努めることとされました。
本市では、これまで子ども青少年局を中心に関係局の御協力もいただきながら、各関係機関の連携を進めるための協議の場を設置、運営してきたほか、医療的ケア児とその家族の方が利用できる支援、サービスの情報を集約したウェブサイトを公開するなど、他都市に先駆けて様々な取組を行ってきたところでございます。
議員からお尋ねいただきました区役所・支所や保健センターの職員を対象とした研修につきましては、これまで障害福祉サービスの支給決定や保育所の利用など、各業務を行うために必要となる範囲で実施してきたところでございますが、今月初旬、本市としては初めて職員向けに医療的ケア児に関する研修を行ったところでございます。
この研修では、現に医療的ケア児を育てる保護者にもお声がけをし、直接、子育てをしている現状や日常生活の様子についてお話をいただきました。
受講後のアンケートを見ますと、医療的ケア児を育てる家族の気持ちを理解することができた、今後の支援に役立てたいなど、大変好評であったため、この研修は非常に有意義であったと感じるとともに、今回1回で終わらせてはいけないと実感したところでございます。
したがいまして、議員御指摘のように、医療的ケア児とその家族が安心して区役所・支所や保健センターの窓口で相談することができるよう、毎年内容を工夫しながら、継続的に職員向けの研修を実施するなど、職員への理解促進を図ってまいりたいと考えております。
また、医療的ケア児に関する市民への周知啓発につきましては、これまで広報なごやの特集を活用するなどの取組を行ってきたところではございますが、法の規定にもございますように、様々な場を通じて行っていく必要があるものと認識いたしております。今後も様々な手法を用いながら、広報及び周知啓発を進めてまいりたいと考えております。
次に、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の今後の方向性についてでございます。
医療的ケア児とその家族に対する様々な支援、サービスを総合調整する医療的ケア児等コーディネーターについて、本市では、これまで105人のコーディネーターを養成してきたところでございます。
また、令和3年度からコーディネーターに対するフォローアップ研修を実施しているほか、同年8月から医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業を開始し、今年度から1名増員して2名体制に拡充するなど、国の仕組みを上回るような、医療的ケア児とその家族への相談支援体制の充実に努めてきたところでございます。
現在、事業の検証のさなかではございますが、コーディネーターに対するアンケート結果によりますと、行政に対して最も期待していることが、スーパーバイズできる人からの助言、アドバイスであることから、事業の必要性を強く認識しているところでございます。
また、スーパーバイザー1人が後方支援を行うことが可能なコーディネーターの数は約30人程度ではないかと見込んでおりまして、さらなる体制強化が必要になるのではないかと考えているところでございます。
今後、さらに検証を進めるとともに、医療的ケア児の支援に関する協議の場における御意見なども参考にしながら、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業の本格実施への移行について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。

◆(くずや利枝君) それぞれに御答弁をいただきました。
初めに、eスポーツに係る本市の取組について、私から要望を述べさせていただきます。
本市は、2026年のアジア競技大会の開催及びその後を見据え、令和3年度に名古屋市スポーツ戦略を策定し、計画期間を令和12年度までの10年間としています。
このスポーツ戦略の中で、eスポーツに関しては、eスポーツのよさを生かしながら、障害の有無等にかかわらず、スポーツをする楽しさを広めていくとの記述もありますが、2026年のアジア競技大会に向けたeスポーツの機運醸成が単なる一過性で終わるのではなく、大会のレガシーの一つとなるよう、本市におけるeスポーツの振興及び高齢者の介護予防といった社会課題の解決に向けた事業展開への取組についても、スポーツ市民局が旗振り役となり、時間軸を持って着実に進めていただきますよう要望を申し上げます。
続きまして、医療的ケア児への支援について、子ども青少年局長に再度お尋ねをいたします。
区役所や保健センターの現場職員を対象とした医療的ケア児に関する研修について、今後も継続的に実施するとの前向きな御答弁をいただきました。
医療的ケア児の支援については、医療や福祉をはじめ、多くの職種の方々の協力の下に行われておりますので、毎回同じ研修を継続するのではなく、説明者や内容を工夫して実施し、医療的ケア児を育てる保護者が行政の受付窓口で安心して相談できる環境整備をお願いいたします。
また、医療的ケア児支援スーパーバイザーモデル事業についても、現時点の検証状況をお聞きし、私としても、さらなる体制強化の必要性を再認識しましたとともに、本格実施に向けて検討するという局長の心強い御答弁をいただき、ありがたく思います。
コーディネーターとスーパーバイザーがそれぞれ協力しながら、医療的ケア児と保護者をライフステージに合わせてしっかりと支えていく体制整備を進めていただくためにも、来年度には本格実施に移行できるよう要望させていただきます。
一方で、市民に対する周知啓発についても前向きな御答弁をいただきましたが、もう少し具体的に踏み込むことができないかと感じております。
他都市の取組状況としまして、横浜市では、専門的な用語も多く、分かりにくい医療的ケアの内容について、イラストを交えながら分かりやすく伝えるための冊子を作成するなど、医療的ケア児のことを広く理解してもらうための取組をしています。
また、国においても、本年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針の中で、医療的ケア児の支援を強化していく方向性が示されるなど、この国の大きな流れに本市も後れを取ることなく、医療的ケア児に関する施策を充実していく必要があると考えます。
ついては、先ほど申し上げたような、広く市民にも分かりやすく医療的ケアのことを伝える冊子を配布するなど、さらなる市民への周知啓発の取組について、具体的かつ早急に御検討いただけませんでしょうか。ぜひもう一歩踏み込んだ御答弁をお願いいたします。

◎子ども青少年局長(佐藤誠司君) 子ども青少年局には、市民への周知啓発を早急に検討することについての考えについて、再度のお尋ねをいただきました。
先ほど答弁いたしましたように、このたび、初めて職員研修を実施したところでございますが、日頃から子供や保護者の支援に携わっている職員についても、医療的ケア児の理解を一層深める必要があると感じたところでございます。
一方、市民の方にも、医療的ケア児の特性や必要な配慮などについて広く知っていただくことが必要であると考えております。医療的ケア児のことを市民の皆様に分かりやすく知っていただくため、さらなる周知啓発の取組につきましては、お示しをいただきました他都市の事例も参考にしながら、冊子やウェブサイト、動画など様々な手法を視野に入れ、来年度の実施に向けて検討してまいります。
以上でございます。

◆(くずや利枝君) 来年度の実施に向けて、前向きで具体的な御答弁をありがとうございます。
ぜひ横浜市にも負けない、どこよりも分かりやすい形で作成していただけるようお願いを申し上げます。そして、最終的には、作成されたものが多くの市民の方に行き届かなければ、せっかく作ったとしても意味がありません。多くの市民の方に行き届くよう様々な場で活用して、広報、周知啓発に取り組んでいただくことを要望させていただきます。
医療的ケア児について、職員や市民の皆様が関心を持っていただくことで、御家族にとっては不安の軽減であったり、孤立の防止になるものと考えており、ひいては、誰一人取り残さない社会の実現につながるのではないかと考えています。
今回の職員への理解促進や市民への周知啓発も含め、医療的ケア児とその家族への支援がさらに充実していくことを要望いたしまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

令和5年(2023年)11月定例会

○本会議 議案外質問
1 女性のための総合相談支援について
2 女性活躍の推進と固定的性別役割意識の解消について

委員会 質疑テーマ

○総務環境委員会
2023/6/14 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での差別発言に対する人権認識
2023/6/14 本市における人権擁護のための条例の制定
2023/6/30 生物多様性なごや戦略実行計画2023における自然共生サイトの認定
2023/7/11 名古屋市立大学データサイエンス学部と本市とのデータ利活用の連携
2023/7/11 名古屋市立大学における大学発スタートアップの支援強化
2023/9/21 名古屋金城ふ頭アリーナの活用